最近の韓国芸能界は50代女性の活躍が目立っている。チョン・ドヨン、イ・ヨンエ、そして、キム・ヘスである。3人とも大女優としての貫禄が凄まじいが、特に、立て続けに二つのドラマで存在感を際立たせたのがキム・ヘスだった。
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『未成年裁判』でキム・ヘスが演じたシム・ウンソクは、地裁の少年刑事合議部・右陪席判事だ。このキャラクターは本当に特異だった。能力はケタ違いに高いのだが、性格も変わっていて決して他人とは同調しない。自分のやり方にこだわっている。
反対に同僚である左陪席判事のチャ・テジュ(キム・ムヨル)は人情派で温かい性格だ。その対比が顕著である。それゆえ、協調性のないシム・ウンソクは誤解されやすいのだが、「仕事の鬼」として原則を忠実に守り抜いていく。
こうした孤高の判事を演じたキム・ヘスの表現力はさすがだ。とにかく切れ味が鋭い、という印象だ。各場面でキム・ヘスが緊迫感を持ちこむことで、『未成年裁判』は迫力満点のドラマに仕上がっていた。
そんなキム・ヘスは『未成年裁判』の後に『シュルプ』に主演した。演じたファリョン王妃は、自分が産んだ大君(テグン/国王の正室が産んだ息子)たちを立派な人間にするために奮闘していく。その際には、キム・ヘスクが扮した大妃と壮絶に戦わないといけない。
大妃は王宮の内命婦(ネミョンブ/側室・女官たちの組織)を支配している強敵。生半可では勝てない相手だ。それだけに、ファリョン王妃は大妃と熾烈な心理戦に挑んでいき絶対に負けない気迫を見せる。
そんな王妃を演じるキム・ヘスは随所で恐ろしい表情を見せる。眉毛が吊り上がり、頬がピクピクする。そんなシーンでとてつもない緊張感が生まれるのも、キム・ヘスの熱情が一気に燃え上がるからだ。
まさに納得だ。『未成年裁判』と『シュルプ』の二つを通して改めて再認識できるのが、いまだキム・ヘスの女優魂は不滅だということだった。この迫力は誰にも真似できない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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