『風と雲と雨』は終盤になって、本当に歴史的に面白くなってくる。高宗(コジョン)が即位してから父親の興宣大院君(フンソンデウォングン)が絶大な権力を持つようになった。そして、パク・ジョンヨンが扮しているミン・ジャヨンが王妃に冊封された。
【写真】パク・シフは『風と雲と雨』で巨大な権力に逆らう主人公をどう演じたか
こういう情勢の中で、パク・シフが演じる主人公のチェ・チョンジュンは、興宣大院君との対決姿勢を鮮明にしていく。
それは、チョンジュンが掲げる理想と真逆なことを興宣大院君がしようとしていたからだ。
実際、チョンジュンが実現をめざす理想とは何か。
それは、民のための政治を行なうことであり、強大な外国勢力から国を守ることだった。
しかし、興宣大院君は違った。彼は最高権力者になっても古い価値観を手放さない男だった。権威主義者であり、極端な保守主義者だ。
そんな興宣大院君が行なった政治とは?
彼はまず、かつて正宮だった景福宮(キョンボックン)を再建しようとした。1592年に焼失して以来、放置されていた景福宮を元の形に造り変えようとしたのだ。その主旨はいいのだが、たくさんの経費と労働力が必要だった。結果的に、それは庶民に莫大な負担を強いることになった。
それによって庶民は困窮したが、興宣大院君は意に介さなかった。これでは、政治が民衆を苦しめるばかりとなった。この点でチョンジュンは納得がいかなかった。
さらに、興宣大院君は攘夷を強行して、外国勢力と紛争を起こした。チョンジュンは世界の情勢をよく把握しており、頑迷な攘夷思想は国を危うくすると知っていた。それゆえ、チョンジュンは巧みな外交によって国を守ろうとしたのだが、興宣大院君は意見を変えずに国を危機的な状況に追い込んでしまう。
そうした意味でも、チョンジュンがまず打倒しなければならないのは、興宣大院君の存在そのものだった。
かくして、チョンジュンは仲間と一緒に理想の実現をめざして奔走する。その一方で、興宣大院君はチョンジュンの命を狙っていく。
こうして最後の決戦が間近に迫ってきた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】『風と雲と雨』のパク・シフの演技は9年前の『王女の男』とどう変わった
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