いま、今年評判になったドラマの表彰などが賑わう時期である。本来であれば、キム・ソンホはその中心にいたかもしれない。
なにしろ、今年大ヒットしたドラマの中でもキム・ソンホが主演した『海街チャチャチャ』は、各賞の最有力候補になるほどの人気ぶりだった。
特に、10月に最終回が放送された後、『海街チャチャチャ』を称賛する声が視聴者からたくさん寄せられた。まさに、キム・ソンホも絶頂に近い感激に浸っていたことだろう。
その直後に、プライベートなスキャンダルが起こった。冷水を浴びせられたファンも多かったことだろうが、キム・ソンホを擁護する意見も少なくなかった。
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こうして騒動は沈静化されていったのだが、キム・ソンホはどんな気持ちでそれからの日々を過ごしたのか。
おそらく反省を繰り返していたのだろう。彼にとっては、失ったものも大きかった。出演する作品にも大きな影響が出た。
しかし、キム・ソンホは正真正銘の俳優だ。演技を通して自分を表現すること以外に道はない。
その中で彼は、映画『悲しい熱帯』の主演を継続するという選択をした。
この作品は、ボクシングで自らを鍛えてきた男がミステリアスな出来事に続けて巻き込まれていくというアクション映画だ。
派手なシーンが連続するという意味で、キム・ソンホは『海街チャチャチャ』とはまったく異質なキャラクターを演じる。彼の新しい一面を見られるはずだ。
本来は各賞の授賞式などで姿を見せてくれるはずのキム・ソンホも、華やかな舞台を遠慮して、新作映画のクランクインに臨んだ。
もはや、キム・ソンホの頭の中は新作のことでいっぱいで、『海街チャチャチャ』は遠い過去の思い出になっているかもしれない。
しかし、ドラマファンはそうではない。今年を振り返ったとき、かならず『海街チャチャチャ』がとっておきのドラマとして甦ってくる。年末年始の長い休みに『海街チャチャチャ』を見ようという人もたくさんいる。
やはり、コロナ禍の中で大ヒットした『海街チャチャチャ』は、2021年を代表する特別なドラマだった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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