『キム秘書はいったい、なぜ？』は、もともとラブコメとして人気があった。しかし、主演したパク・ソジュンがその後に『梨泰院クラス』で世界的な名声を得るようになり、それにつれて前作の『キム秘書はいったい、なぜ？』がさらに大ブレークを果たすようになった。とにかく、このラブコメは「典型的な対比型キャラクター」のドラマだ。
パク・ソジュンが扮するのは、ユミョン・グループ副会長のイ・ヨンジュンである。彼は万能タイプの成功者だ。御曹司であり、頭脳はピカイチで、容姿も完璧。しかも、性格は完全なナルシスト。自分しか愛さないという人間だ。
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一方、ヨンジュンに使えるキム秘書は、父親の借金をようやく返済できたという家庭の出身。凄い学歴があるというわけではなく、平凡なキャリアを積み重ねて今はヨンジュンの秘書を続けてきたが、それも退職して新しい人生を始めようと思っている。
もちろん、美貌には恵まれているが、能力的に特筆すべきものを持っているわけではなかった。そういう意味で、キム秘書には平凡な生活をアップグレードさせる手段がない。
さらに大事なのは、キム秘書はヨンジュンに仕事のうえで尽くしてきたが、異性としては興味を持っていなかったことだ。
それなのに、ヨンジュンが勘違いしてしまう。
とても面白いエピソードがあった。
ヨンジュンが花束を持ったときに、キム秘書が目を潤ませてしまったのだ。てっきり、ヨンジュンは彼女が自分に恋していると思ってしまった。しかし、実際はまるで違った。キム秘書は花粉症で花束に過敏に反応しただけだったのだ。
ヨンジュンは完全にその気になってしまった。だからこそ、キム秘書が退職を願い出たときに、彼女が完全に自分に舞い上がっていると錯覚し、退職を思いとどまらせる作戦を次々に打ち出していった。
しかし、ヨンジュンは失敗ばかりだった。それも、庶民の生活スタイルをまったく知らないことから起こる無知な対応がほとんどだ。
常に冷静なキム秘書と勘違いばかりしているヨンジュン。キャラ対決の軍配は、パク・ソジュンが演じるヨンジュンが完敗しそうな雲行きだ。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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