韓国の時代劇といえば、最近は朝鮮王朝を舞台にしたドラマが圧倒的に多い。
10年くらい前までなら、古代や高麗時代を取り上げた時代劇も意外とあったのだが、最近は朝鮮王朝の宮廷劇がとても多くなった。
理由はいくつもある。
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制作費の問題も大きいと思われる。やはり、古代の時代劇だとセットや衣装に経費がかかるのだ。それゆえ、企画の段階で古代の設定は実現しづらいのが現実だ。
さらに、ストーリーが作りづらいという問題がある。
たとえば、朝鮮王朝には「朝鮮王朝実録」という膨大な歴史書があって、当時に起こった出来事を詳しく知ることができる。これは脚本を作る上でとても大助かりだ。そういう、やりやすさが朝鮮王朝時代のドラマには歴然とある。
一方、古代に関しては、詳しい歴史書があまりない。それゆえ、古代の英雄を取り上げようとしても、かなり想像で補わなくてはならない。このように、古代を舞台にしようとすると、ストーリー上で難しい部分も多いのである。
そういう事情があって、最近の韓国では古代や高麗時代を取り上げるドラマがめっきり少なくなっている。
とはいえ、朝鮮王朝時代のドラマばかりだと、時代劇の幅が極端に狭くなってしまう。やはり、古代のスケールが大きい時代劇も必要なのだ。
そういう意味で言うと、人気絶頂のパク・ソジュンが主演を務めた『花郎〈ファラン〉』はとても面白い時代劇だった。
題名になっている「花郎」は、新羅時代の青少年たちの教育組織のこと。それを舞台に名門出身の若者を描いていくのだが、パク・ソジュンが演じるのは貧しい農村出身の若者だ。そして、パワフルな成長物語が痛快に描かれているのが『花郎〈ファラン〉』の特徴だ。
この時代劇はNHKのBSプレミアムで6月13日から放送されることが決定している。ドラマを通して、韓国の古代を描いた時代劇の面白さも十分に伝わっていくだろう。本当に楽しみだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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