韓国時代劇の『王女の男』は、朝鮮王朝版のロミオとジュリエットと評されるほど、ラブストーリーの場面が多いドラマだった。
これまでの時代劇というと、国王や王妃を描く宮廷ドラマが多く、王族の愛憎劇や高官の政治闘争などが描かれることが多かったが、『王女の男』は純粋にラブストーリーがメインに打ち出されていた
【関連】悪女から聖女まで!!女優ムン・チェウォンが輝いた『悪の花』
この作品のキム・ジョンミン監督は、制作を構想した段階からヒロインとなるセリョンの役にはムン・チェウォンが一番いいと考えていた。それだけに、セリョンのキャラクター設定もムン・チェウォンを念頭に置いていたという。
ムン・チェウォンにとってもとても名誉なことであり、彼女は依頼を受けたときにすぐに「出演したい」と即答した。まさに、彼女としても役者冥利につきる話だったことだろう。
ムン・チェウォンが共演したのはパク・シフで、彼はキム・スンユという名門の御曹司を演じた。
セリョンとキム・スンユは、朝鮮王朝時代を彩るような愛の物語を展開するはずだったのだが、2人の家柄は敵同士となってしまい、2人は禁じられた愛に立ち向かわなければならなかった。
結局キム・スンユは父を殺されて、セリョンの父である世祖(セジョ)を執拗に狙っていくのだが、セリョンは父に反抗してまでキム・スンユへの愛を守り通していった。
現代でも男女の恋愛とは制約が多いものだが、朝鮮王朝時代はさらに恋愛が難しい時代だった。
そういう中で、セリョンは自らの気持ちに忠実に従って、1人の女性として信念を持った生き方を貫いていった。
セリョンを演じたムン・チェウォンは、本当に楽しくセリョンの役を演じきることができた。それは、ドラマが意図していた美しいラブストーリーを彼女なりに納得して演じきることができたからだ。
しかし、撮影は大変だった。
特にムン・チェウォンが撮影で苦労したのは、何度もブランコをこぐ場面だった。普通のブランコなら何も問題ないのだが、ブランコが長いうえにムン・チェウォンはワイヤーに吊られながら、何度もブランコを動かした。
肉体的には本当に辛かったという。
しかし、映像を見ると、とても美しい場面に描かれていた。それゆえ、ムン・チェウォンは撮影の苦労を一気に忘れることができたという。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
前へ
次へ