ハン・ヒョジュといえば、主演作がたくさんあるが、代表作といえば多くの人が『トンイ』を挙げるだろう。日本では今でも人気が高い時代劇で、繰り返し再放送されている。
このドラマは、韓国MBCで2010年3月22日から10月12日まで放送されている。つまり、制作されてから丸10年が経過したのだ。それでも古さを感じさせない。それほど時代を超える傑作だということだ。
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この『トンイ』を制作するとき、イ・ビョンフン監督が一番苦心したのが、主役となる若手女優を誰にするかということだった。キャスティングが大問題だったのだ。
イ・ビョンフン監督は、すでに『ホジュン 宮廷医官への道』『宮廷女官 チャングムの誓い』『イ・サン』などの傑作時代劇を連続して大ヒットさせており、「時代劇の巨匠」と称賛されていた。
そんな大監督が『トンイ』では若手女優を主人公に抜擢したいという意欲を持ち、キャスティングを精力的に行なった。しかし、適役がいなかった。
そんなイ・ビョンフン監督が注目したのがハン・ヒョジュであった。彼女は、韓国のSBSで2009年の4月下旬から7月まで放送された『華麗なる遺産』で主役のヒロインを演じていた。
この『華麗なる遺産』は、最高視聴率が47%以上になって大ヒットした。なぜ、これほど『華麗なる遺産』が人気を集めたのか。それは一番肝心なストーリーが、群を抜いて面白いからだった。
物語は27歳の青年ファン(イ・スンギ)と24歳の娘ウンソン(ハン・ヒョジュ)がアメリカでの留学を終えて、同じ飛行機で韓国に戻ってくるところから始まる。赤の他人の2人は同じようなカバンを持っていて、ウッカリしてカバンを取り違えて帰ってしまう。
ウンソンは早く自分のカバンを取り戻そうとするのだが、一方のファンは帰国してから遊び歩いていて、ウンソンから連絡が来ても、なかなかカバンを返そうとしない。こうした展開から、ストーリーがめまぐるしく変わって本当に面白くなっていった。
とにかく、ドラマのテンポが良く、見ている人が登場人物に感情移入ができるようなキャラクター揃いだった。その中でも、ハン・ヒョジュの演技が本当に良かった。そこに注目して、イ・ビョンフン監督は彼女を『トンイ』の主役に抜擢することを決めた。このように、『華麗なる遺産』の成功は、ハン・ヒョジュをさらに大ブレークさせるきっかけになった。そういう意味では、ハン・ヒョジュにとって、『トンイ』と同じように『華麗なる遺産』も忘れられない代表作であったことだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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