NHKで毎週日曜日に絶賛放映中の『100日の郎君様』。主演を務めるド・ギョンスのことは、以前から知っていた。
人気グループEXOのメンバーであることもさることながら、彼が出演した映画を多数見てきたためでもある。
スーパーの非正規従業員たちの不当解雇問題を描いた『明日へ』(2014年)、DVD鑑賞ボックスで起きるスリラー『7号室』、そして韓国はもちろん、日本でもヒットした『神と共に』シリーズなどがそうだが、筆者がもっとも強烈な印象を受けたのは2018年12月に韓国で公開された『スウィング・キッズ』だった。
【写真】闘病中スター俳優が『100日の郎君様』ド・ギョンスを激励した感動秘話
映画『スウィング·キッズ』は朝鮮戦争の真っ只中にあった1951年、北朝鮮軍の捕虜収容所だった巨済捕虜収容所で、ダンスへの情熱だけで団結した寄せ集めのダンス団「スウィング·キッズ」の胸躍る成長を描いた映画だ。
演出はカン・ヒョンチョル監督。日本でも大ヒットした映画『サニー』を通じて、音楽を活用した感覚的演出力と愉快で楽しくハートフルなドラマ構成力で、観客の共感を得てきた人物だ。
そのカン・ヒョンチョル監督が朝鮮戦争の殺伐した雰囲気の中でも、生き生きした若者たちの姿を見事に描き、出演俳優たちもタップダンスの練習に励み、『スウィング·キッズ』のアンサンブルを豊かに完成させたのだが、中でも印象的だったのは主演のト·ギョンスだった。
収容所で偶然目にしたタップダンスにはまってしまった北朝鮮軍の捕虜ロ・ギス役を演じたド・ギョンスは、作品のために頭を丸めて挑んだのだ。
「剃髪はキャラクターのために当然したもので、北朝鮮訛りでのセリフの言い回しは最初こそ不慣れだったが、撮影しながら慣れることができた」とはド・ギョンスの言葉。
外的な変身はもちろん北朝鮮兵士の演技まで見事にこなし、これまで見られなかった新しい魅力と没入度の高い演技を披露したド・ギョンスに役者としての大きな可能性を感じたのは、筆者だけではないだろう。
そんなド・ギョンスが現在は『100日の郎君様』を通じて日本の視聴者たちにもその存在感を知らしめている。
『100日の郎君様』でド・ギョンスのファンになった方々はぜひとも彼のほかの出演作もオススメしたい。
特に『スウィング・キッズ』は必見だ。8月5日にはブルーレイ&DVDもリリースされているので、ぜひチェックしておきたい。
文=慎 武宏
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