韓国時代劇ドラマ『不滅の恋人』は15世紀の朝鮮王朝に実在した首陽(スヤン)大君とその弟・安平(アンピョン)大君の対立をモチーフにしつつ、その対立構図の中に1人の女性を加えたことでラブストーリー的な要素を軸にしながら展開していく史劇ロマンスだ。
テレビ東京の韓流プレミアで放送されたり、Netflixなどで視聴している方々も多いのではないだろうか。
ドラマのヒロインを演じているのは、『オクニョ 運命の女(ひと)』で主人公オクニョを演じたチン・セヨンだ。
『オクニョ』で日本でも有名になったチン・セヨンは、日本でもファンミーティングも行っている。そんな彼女が、ふたたび韓国時代劇でヒロインを演じていることもあって、視聴しているファンもいることだろう。
ただ、チン・セヨンが『不滅の恋人』への出演を決めるまでは紆余曲折も多かった。
韓国で『オクニョ』が放映されたのは2016年4月30日から2016年11月6日。
年末の2016年MBC演技大賞では特別企画部門の女性優秀演技賞にも輝いた。22歳(1994年2月15日生まれ)にして一躍、人気女優になったわけだが、それから約1年近く彼女はブランクを置いていたのだ。
女優業に疲れてしまったわけではない。
『オクニョ』主演前も、2012年には『カクシタル』と『蒼のピアノ』、2014年には『感激時代』と『ドクター異邦人』など、近代劇にラブロマンス、ロマンチックノワールに医療ドラマと、さまざまなジャンルの作品に出演してきた。
ただ、そんな彼女であっても『オクニョ』の撮影は過酷だった。初めて本格的な時代劇だったうえに、メガホンをとったのは“韓国時代劇の巨匠”とされるイ・ビョンフン監督だ。
イ・ビョンフン監督が手掛けてきた韓国時代劇はセリフが長く、重要場面ではロングテイクで撮ることで有名で主演クラスになると徹夜続きとなるが、そのような日々が『オクニョ』では7カ月間も続いたこともあって、心身をリフレッシュさせる必要があったという。
『オクニョ』撮影終了直後には「当分の間は史劇ドラマはやらない」とも思ったという。それもチン・セヨンらしいといえばらしいのだが、そんな彼女がなぜ、時代劇である『不滅の恋人』を選んだのか。
チン・セヨンは複数の韓国メディアとのインタビューで言っている。
「実際、『オクニョ』の撮影が終わったあと1年ほど空白期間があったと思います。その間、自分が演じたいキャラクターは何かということをたくさん考えたのですが、そのときにいただいたのが『大君(テグン)、愛を描く』のシナリオだったのです」
『大君、愛を描く』とは『不滅の恋人』の原題だ。そのシナリオを初めて読んだとき、チン・セヨンは劇中ヒロインであるソン・ジャヒョンというキャラクターに強く惹かれたという。
「現代劇であってもソン・ジャヒョンというキャラクターは魅力的でした。まるで小説を読むようにシナリオの世界観にどっぷりと入り込んでしまったのも初めての経験でした。以前から明るいキャラクターを演じたいと思っていたのですが、ソン・ジャヒョンがまさにそれだったのです」
こうして『不滅の恋人』への出演を決めたチン・セヨン。
韓国で2018年2月27日に行われた『不滅の恋人』制作記者会見でも、「これまでとは違う、明るく溌剌とした姿を見せられるキャラクターが魅力」と言って笑顔を見せていた。
「オクニョとの違いがあるとすれば身分ではないでしょうか。オクニョは獄中で生まれ育った人物ですが、ジャヒョンは両班(ヤンバン:貴族)の娘であり、“絶世の美女”という設定。オクニョの衣装は綺麗な絹の韓服ではありませんでしたが、ジャヒョンは綺麗な衣装をたくさん着られることも嬉しいです」とも語っていた。
『オクニョ』とはまた違ったキャラクターを見事に演じ、韓国では「チン・セヨン『オクニョ』→『テグン』で証明した“時代劇クイーン”の真価」(『ニュース1』)と評価されるまでに至った理由を、『不滅の恋人』を通じてじっくりと確かめていただきたい。
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