とても礼儀正しいスター俳優だった。
『冬のソナタ』が日本で大ブームになった2004年、筆者は韓流ムックの編集長をしていてパク・ヨンハさんのインタビュー記事を掲載した。そのとき、スタッフが彼の謙虚な人間性を称賛していた。目上の人を敬い、取材者が年上のときは絶対に自分から先に座らない。敬語も丁寧で、対応が本当に素晴らしかった。
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パク・ヨンハさんは1977年に生まれた。高校時代、小さな端役でドラマの世界に足を踏み入れ、21歳のときに出演した人気ドラマ『見てまた見て』で知名度をアップさせた。
2001年に『冬のソナタ』のキャスティングが始まった。ペ・ヨンジュンとチェ・ジウが早々と決定した中、難航したのがサンヒョクの役だった。裕福な家庭に育ちながら愛の嫉妬に苦しむという複雑な役どころ…適任者がなかなか見つからなかった。
そのとき、ユン・ソクホ監督の目に留まったのが、ペ・ヨンジュンと同じ事務所に所属していた後輩のパク・ヨンハさんであった。彼はユン・ソクホ監督にこう進言した。
「僕の役を、どうしようもない奴にしてください。そのほうがヨンジュン兄さんとの葛藤がより深くなり、ドラマが盛り上がると思います」
彼は積極的に意見を出し、演じる役に魂を注ぎこんだ。結果として、サンヒョクという青年は単なる恋敵ではなく、愛に翻弄されながらも真っ直ぐに生きて、視聴者の胸に深く刻まれた。
その好演が評価され、『Loving You』(2002年)で初主演を果たした。2003年にはファーストアルバム『期別』を発表し、『オールイン』の主題歌「初めて出逢った日のように」でも、歌声で多くの人の心を震わせた。
2004年、彼は日本での歌手活動を開始した。6月に来日して行ったプロモーションは大成功となり、誠実で純粋な人柄は日本のファンに温かく迎えられた。
横浜で開かれたファンイベントでは、『冬のソナタ』の主題歌を日本語で歌った。会場を埋め尽くしたファンの熱い声援に感極まったパク・ヨンハさんは声を詰まらせて歌えなくなった。その瞬間、彼の涙はファンの涙と重なり、ひとつの温かな記憶となった。多感な気持ちを好意的に受け止める人が多く、彼はさらに多くのファンを獲得した。
俳優としても、ドラマ『オンエアー』(2008年)、映画『作戦 THE SCAM』(2009年)、ドラマ『ザ・スリングショット~男の物語』(2009年)などで活躍していた。
突然の訃報が伝えられたのが2010年6月であった。彼はソウル市内の自宅で亡くなった。それから15年の歳月が流れた。15周忌に合わせて納骨堂を訪れたキム・ジェジュンはインスタグラムを通して、「今もヨンハさんは多くの人々の心の中に熱く生きています」と語っていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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