『トンイ』が描く究極の人間模様、張り詰めた空気の中で生まれる運命

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テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『トンイ』。9月8日に放送された第26話は、まさに緊張と感情の奔流が交錯する鮮烈な一話であった。

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冒頭から張り詰めた空気が漂い、シム・ウンテク(演者キム・ドンユン)が命を賭してトンイ(演者ハン・ヒョジュ)を救い出そうとする場面は、観る者の心を一瞬にして掴んだ。

謄録類抄(トゥンノンユチョ/国境の兵の配置が記録されている軍事秘密)を偽りの書物とすり替え、本物をトンイに託すという巧妙な策略は、観客の手に汗を握らせる知略の妙であり、そこに映し出されるのはウンテクの聡明さと決死の覚悟、そしてトンイとの間に結ばれた揺るぎなき信頼であった。

一方で、張禧嬪(チャン・ヒビン/演者イ・ソヨン)の弟チャン・ヒジェ(演者キム・ユソク)が「トンイが生きている」と報告する瞬間、宮廷の均衡は大きく揺らぎ始める。

再び捕らえられたトンイは、過酷な尋問に晒されるが、毅然として口を割らぬその姿は、彼女の芯の強さを際立たせた。

ヒジェが吐き捨てるように「これほど手強い女は初めてだ」と語る言葉は、逆説的に彼女の存在感を証し、観る者に深い感銘を残した。

『トンイ』
(写真=韓国MBC)

深い余韻を残した物語

また、この回で心に残るのは仲間たちの献身的な連携である。影のようにトンイを支えるソリ、義州で孤軍奮闘するチャ・チョンス。その中で、馬をどうやって手に入れたのかというユーモラスな一幕は、緊迫した物語にひとときの微笑を添えた。

さらにソ・ヨンギが発兵符を振るい兵を退ける場面は、痛快さと緊張が交互に押し寄せる劇的な高揚感を演出していた。

その物語を奥深くしたのは、張禧嬪の胸中に揺れる切なさと嫉妬であった。粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)の心が自分から離れていくことを敏感に悟り、孤独と焦燥に苛まれる彼女の姿は、単なる悪女像を越えた人間的な弱さを映し出した。

粛宗もまた、表では強硬さを保ちながら、仁顕王后(イニョンワンフ/演者パク・ハソン)への思慕を胸の奥に秘める。その矛盾と揺れは、王としての責務と1人の男としての感情がせめぎ合う哀切な葛藤であった。

クライマックスでは、ヒジェが怒り狂い権力への焦燥を露わにするが、最後にはトンイを取り逃がすという皮肉な結末に至る。

彼女の生還は安堵を与えつつも、ウンテクは王命に従い義州に留まる決断を下し、トンイと切ない別れを迎える。互いを信じ合う者同士だからこそ選んだその決断は、深い余韻を胸に刻んだ。

そして残された謎は、謄録類抄は果たして本当に清に渡ったのかということである。この疑問は物語の核心として次回への期待を限りなく高める。

第26話は、知略と忠誠、愛憎と信頼が複雑に絡み合い、登場人物それぞれの人間性を鮮烈に浮き彫りにした回であった。視聴者は彼らの選択が国家と未来をどのように揺り動かすのか、その行方を待ち望まずにはいられないのである。

文=大地 康

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