『冬のソナタ』から20年…韓国ドラマにみる恋愛・結婚観の変化。新トレンドは「非婚」

2025年02月08日 話題 #李ハナ
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近年、韓国ドラマはジャンルの多様化が顕著だ。Netflixシリーズ『イカゲーム』や『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』などの大ヒットからも想像に難くない。

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韓国ドラマが昔から得意とするラブロマンスに限っても、斬新な発想の設定が大いに増えた。

「見知らぬ未婚男女が徐々に惹かれ合う」という王道の枠組みを超えた、さまざまな愛のカタチが描かれている。最近のドラマを見ていると、韓国人の伝統的な価値観が大きく変わっていることをひしひしと感じる。

そのなかでも、特筆したいのは結婚観だ。

韓国では今、若い女性を中心に「非婚主義」が一種のムーブメントになっている。「非婚」とは、“あえて結婚しない”ことを選ぶこと。まだ結婚していない状態の「未婚」と区別される。

若者たちが非婚を宣言する理由としては、家庭内の不平等や男女差別への反感、経済的な負担など、さまざまな要因が複合的に関与している。ただ一つ言えるのは、結婚が人生の必須事項ではないという価値観が定着しつつあるということだ。

このような社会的雰囲気もあるからか、韓国ドラマの結婚の描き方もバリエーション豊かになっている。

もう「結婚=ハッピーエンド」の時代ではないのだ。むしろ、結婚に対するネガティブなアプローチから始まるドラマが目に見えて増えている。

多様化した結婚の形

例えば2024年にヒットし、Prime Videoで配信中の『損するのは嫌だから』。タイトルから察せられるとおり、ことごとく自分が損するのは許せない33歳の未婚女性の物語だ。

学生用教材を作る会社で課長としてバリバリ働く主人公は、福利厚生の90%が社員の結婚、出産、育児手当に割り当てられていることが腑に落ちない。

しかも、スピード昇進が約束された社内コンテストにおいては、自分のような未婚女性は絶対に選ばれないという噂だ。とうとう「自分ばかり損している」と不満を募らせた主人公は、会社からの結婚祝金と休暇をもらい、今までばら撒いたご祝儀も回収すべく、偽物の結婚式を挙げる計画に乗り出す。

損するのは嫌だから
(画像=tvN)

つまり、結婚はただ利益を得るための手段に過ぎないのだ。

ラブコメである以上、主人公の偽物の花婿が本当に愛する夫に変わるというオチは決まっているものの、主人公の考え方や行動には時代を感じさせる要素が満載だった。

Netflixシリーズ『その電話が鳴るとき』も、結婚をネガティブに捉えることから始まる。

主人公となるのは、結婚3年目で冷え切った仮面夫婦。愛のない政略結婚で息が詰まる日々を送っていた妻は、とある事件をきっかけに“脅迫犯”となり、「離婚しろ」と夫を追い詰めることになる。

その電話が鳴るとき
(画像=MBC)

“ロマンススリラー”を謳ったこのドラマは、不幸な結婚生活を見せることで愛のない結婚の無意味さや、愛情表現の必要性を痛感させた。

Netflixシリーズ『トランク』にも、2組の男女の奇妙な結婚生活が出てくる。

ある日、湖畔に浮かび上がったトランクによって明かされる謎めいた結婚サービスの存在と、そこで契約結婚をした男女を描くミステリーロマンス。過去のトラウマや傷ついた経験から間違った選択をした男女が、ねじれた関係を少しずつ修復していく過程が丹念に描かれている。

トランク
(写真=Netflix)

大ブームを巻き起こした『冬のソナタ』の日本上陸から20年。最近の韓国ドラマはあの時代とは比べものにならないほど恋愛観、結婚観、家族観の変化が激しい。

ロマンスに限らず、あらゆるジャンルで斬新かつ奇抜な作品が出てくることを期待したい。

文=李 ハナ

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