これほど大ヒット作に恵まれた俳優は、他にいないのではないだろうか。キム・スヒョンが主演した『涙の女王』も、2024年の最大の話題作になっていた。まさに、彼は大ヒット作に愛される俳優なのである。
新鋭のときもそうだった。彼が23歳のときに主演した『ドリームハイ』は注目の出世作になったし、その後に主演した『太陽を抱く月』は40％の視聴率を超えたメガヒット作だった。さらに、映画『10人の泥棒たち』は1千万人以上の観客を集めた。
このように20代前半のキム・スヒョンは、出演した作品を次々と大ヒットさせた。勢いに乗った彼が2013年に取り組んだドラマが『星から来たあなた』だ。このドラマでキム・スヒョンは、400年前の朝鮮王朝時代に地球にやってきてそのまま現代まで生きている異星人のト・ミンジュンに扮している。
何よりも、キム・スヒョンはタイトルに強く惹かれたという。
「タイトルが素敵だと思いました。朝鮮王朝時代から現代まで生きているミンジュンが持っている“歳月”をぜひ表現したいと思い、出演することを決めました」
ドラマの中でキム・スヒョンは、400年の違いを巧みに表現している。朝鮮王朝時代のミンジュンは優雅で物腰がゆったりしており、表情には初めて異星に来た好奇心が宿っていた。
一方、現代に生きるミンジュンはどこまでもクールで、大学で教えるときには感情を出さないようにしていた。それが現代人にまぎれて生きていく彼なりの流儀だったのだ。
「かつての出演作品では、いろいろな作品のキャラクターを参考にしたのですが、今回は異星人ということで、特別に他のキャラクターを参考にしていません。独自に作り上げていきました」
こうした努力を重ねたキム・スヒョンと共演したのが、わがままなトップ女優ソンイに扮したチョン・ジヒョンであった。2人には年齢差があったが、息もピッタリ合っていた。
結局、『星から来たあなた』は最高視聴率33・2％を記録して、大ヒットを連発する「キム・スヒョン神話」を立派に証明した。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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