テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『ホジュン～伝説の心医～』を見ていると、王宮の内医院(ネイウォン)で働く医女の身分が低かったことがしばしば描かれている。なぜ、身分が低かったのか。まず、医女の存在について見てみよう。
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医女の制度が王宮で始まったのは、まだ朝鮮王朝が始まったばかりの15世紀初頭のことである。儒教の影響が濃厚な時代であり、男女が生活の場で交わることさえも慎むべきとされていた。そんな風潮の中で、病に伏した女性が男性医師に身体を預けることは望ましくなかった。
そのような世情の中で大いに求められたのが、女性でありながら医術を身につけた存在である。こうして医女の誕生が必須となった。しかし、成り手がいなかった。
現代でいえば医師は尊敬される職業であり、名誉を伴う地位だが、当時の朝鮮王朝においてはまったく逆であった。医女を目指す女性は皆無であり、上流階級の娘たちはもとより、庶民の女性たちでさえその道を志す者はいなかった。
そのため、やむを得ず王朝は社会の最も底辺に位置する奴婢の中から、賢い女性を選び出した。彼女たちは漢方や鍼灸の知識を教え込まれ、陰ながら人々の命を守る役目を担うこととなった。
しかし、彼女たちの地位は哀しくも低いものであった。命を救うという尊い使命を果たすかたわら、宮中の宴席では「酌婦」となり、酔った男たちの戯れ言に耐えるという屈辱的な務めまで背負わされた。
そうした哀愁を帯びた日々の中、やがて時代の風は少しずつ変わり始めた。16世紀に入ると、ようやく王朝はその不遇を正そうとし、医女を宴席に出すことを禁じる制度を設けた。これにより、医女たちは本来の職務である医療に専念できるようになった。
『ホジュン～伝説の心医～』が描いている時代は16世紀後半である。本来、医女は宴席に出る必要がなかったのだが、『ホジュン～伝説の心医～』ではそういう場面がたびたび出てくる。史実とは違うドラマ的な演出であったかもしれない。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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