『太陽を抱く月』で主人公のヨヌを演じたのがハン・ガインだ。
かつて『韓国時代劇ファン』という雑誌の編集長をしたとき、ハン・ガインに2012年6月に書面インタビューをしたことがあった。印象深い発言が多かったので、改めてここで再録してみよう。
―ハン・ガインさんは“初恋の純粋さを思い出させてくれる女優”という評価を受けています。それについて、どう思われますか。
「今まで私が出演した作品を通して、みなさんがそういうイメージを受けるのではないでしょうか。私の初めての映画『マルチュク青春通り』もそうでしたし、『太陽を抱く月』でも私は初恋に落ちる役でした。それで、みなさんがそのように思ってくださるようです」
―『太陽を抱いた月』でヨヌ役を演じました。時代劇で切ない恋を表現するという難しい役だったと思いますが、演技するとき、特に気をつかったところは何でしょうか。
「撮影と放送がほぼ同時に行なわれました。それだけに、あまり時間がなく、行き届かないところもいくつかありましたが、撮影の時はいつも集中して挑みました。そうする中で、ヨヌという役そのものになりきることができたのではないかと思います」
―ヨヌ役と実際の自分が似ていたと思いますか。あるいは、性格が違う点がありましたか?
「そんなに似ているところはないと思いますが、他人の痛みや苦しみを共に感じるところが似ていたかもしれません。違うところは、やっぱり劇中のヨヌは自分の記憶をすべて失ってその記憶を探します。つまり、自分を探し求める人物だったわけで、その点では私とすべてが違うと言えるかもしれません。私は記憶を忘れてしまったことがありませんので」
―『太陽を抱く月』で一番気に入っているのはどんなシーンでしょうか?
「ヨヌが記憶を取り戻すシーンです。ヨヌの記憶が戻るようになって、陰謀が明るみになります。まさに、決定的なシーンです。お母さんを思って嗚咽する場面なので、胸が痛かったですね」
―撮影中に記憶に残ったエピソードがありますか?
「シナリオが出れば2つのチームで分けて、ほとんど生放送で撮影をしていました。とにかく、連日徹夜の撮影なので体力的に大変でした。また、撮影した時期が真冬で、撮影現場がとても寒かったのです。セリフを言う度に白い息が出て困りました」
―このドラマの魅力は?
「時代劇なのですが、見ていると少女マンガみたいに感じられる作品です。主役たちの恋には裏切りもなく嫉妬もないのです。ただ純粋な恋だけがあります。ですから、その純粋さにときめきながらも、また、その切なさで胸が痛むドラマだと思います。一方で、主人公たちをよく思わない人たちが執拗に陰謀をめぐらし、このドラマをもっと面白くしてくれます。時代劇でありながら1冊の少女マンガみたいなストーリーが魅力的だと思います」
構成=康 熙奉(カン・ヒボン)
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