韓国ドラマ『隠し味にはロマンス』で注目を集めているユ・スビンが演じるのは、クッパ店を営む一家の息子シン・チュンスンである。
彼のキャラクターは、派手な服装とスーパーカーを駆る都会的な若者のように見えるが、実のところ店を守る父親の背中を追い、認められようと奮闘する実直な青年だ。軽薄に見える第一印象とのギャップが絶妙なユーモアを生みつつ、視聴者の共感を誘う。
この役柄に息を吹き込むユ・スビンが広く知られるようになったのは、『愛の不時着』において北朝鮮軍の兵士キム・ジュモクを演じたことがきっかけだった。
韓国ドラマ好きというユニークな設定のキャラクターを、ユ・スビンは見事に演じ切り、コミカルながらも人情味あふれる姿で多くの視聴者の心をつかんだ。特に韓国ドラマに夢中になる姿は、リアリティと愛嬌が同居し、彼の自然体の演技力が光る瞬間であった。
その後、『スタートアップ:夢の扉』にて、スタートアップ企業「サムサンテック」のメンバーであり共同創業者イ・チョルサン役を好演。現実的で少し臆病だが、仲間を思う気持ちの強い青年というキャラクターを、控えめでありながらも確かな存在感を放った。
この作品では、若手俳優としての安定した演技力と人間味あふれる表現が評価され、名脇役としての地位を確立した。
ユ・スビンの魅力は、見た目の親しみやすさと、内面の繊細さをにじませる演技の両立にある。外見は柔らかく、セリフの言い回しには自然体のリズムがある一方で、登場人物の内面を丁寧に描く演技力には定評がある。
コミカルな役柄でも安易に笑いに頼ることなく、キャラクターの背景や感情を深く掘り下げる姿勢は、作品に厚みをもたらす。『隠し味にはロマンス』では、その持ち味がさらに磨かれた形で発揮されている。
軽薄そうな外見とは裏腹な真面目さ、そしてどこか憎めない天然さを兼ね備えたシン・チュンスンという役は、まさにユ・スビンのためにあるようなキャラクターである。
時に笑いを誘い、時に胸を打つ彼の演技は、ドラマ全体の雰囲気を和らげつつも、確かな緊張感をもたらしている。
今後のユ・スビンの活躍にも大いに期待がかかる。主演・助演を問わず、彼が加わることで物語に深みと人間味が宿るのは間違いない。
韓国ドラマ界における名脇役として、その存在感は今後ますます高まっていくだろう。
文=大地 康
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