チェ・ジウは、子供のときは相当なおてんばだった。父が軍人だったこともあり、本気で軍人になりたいと思っていた。彼女自身も「ちょうど『冬のソナタ』の高校時代のユジンが自分に一番近い姿」と言うくらい。もともと明朗活発で、感情表現がストレートなタイプだったのだ。
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ところが、女優になってからまわってくる配役は内気で耐え忍ぶものばかりだった。典型的だったのが2000年に出演した『新貴公子』。財閥会長の令嬢役だったが、好きな人に自分の思いを伝えられない箱入り娘を物悲しく演じていた。画面に出る彼女は、うちひしがれた表情ばかり。演じていても、かなり気持ちがふさいだことだろう。
2001年の『美しき日々』でも、他人の幸せばかり考えて自分はすべての不幸を引き受けるような役柄だった。いつも泣いていた。それも、大声を出してのワンワン泣きだった。ついたニックネームが「涙の女王」。これだけイメージが固まると、人前でゲラゲラ笑う姿もそうは見せられない。プライベートでも自分の感情を抑える癖がついた。
しかし、ユン・ソクホ監督は、チェ・ジウの違う一面に注目していた。フランス映画によく出てくるような、街を颯爽と歩く活動的な女性のイメージをチェ・ジウの中に見ていた。それは、「鶴のような姿」と言い換えてもよかった。
モデルのようなスタイルをもつチェ・ジウを泣かせてばかりではもったいないし、明朗活発な役こそふさわしいかも……そう考えて、ユン・ソクホ監督は『冬のソナタ』のユジン役にチェ・ジウを指名した。それが2001年夏のことであった。
そして、その年の12月から『冬のソナタ』の撮影が始まった。ドラマは2002年1月からKBSで放送が始まり、社会的にシンドロームを巻き起こすほど大人気となった。
それは韓国だけではなかった。台湾・香港や東南アジアでも人気となり、2003年からは日本に波及した。それを契機に日本で韓流ブームが巻き起こり、今年はその20周年になった。その間もチェ・ジウは韓国のトップ女優として活躍した。
20年間、チェ・ジウの美貌はまったく変わらない。まさに「奇跡の女優」と言えるかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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