韓国の男子は成人すれば誰もが兵役の義務を負っている。現在、兵役期間は陸軍で18カ月であり、その間に厳しい軍務を務めなくてはならない。
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そんな兵役中の実態をスリル満点で教えてくれるのが、チョン・ヘインが主演している『D.P.―脱走兵追跡官―』である。
チョン・ヘインが演じるアン・ジュノは正義感が強い青年だ。彼は兵役で入隊すると、先輩兵士たちによる過酷なイジメを目撃する。迎合できない性格のアン・ジュノも標的になってしまいそうだったが、彼は「背が高い」という理由だけで特殊な任務に配属される。それは、憲兵隊であり、脱走した兵士を逮捕する役目に従事していく。
そこでアン・ジュノが見たものは……。
脱走する者には相応の理由がある。その現実を目の当たりにして、アン・ジュノの苦悩は深まるばかりだが、『D.P.―脱走兵追跡官―』は人間性を肯定する気持ちを残しながら軍隊で起こることをスリリングに描いていく。
登場人物がクセのある者ばかりで、ドラマに一層の緊迫感を与えている。
除隊を控えているのに後輩兵士たちをいじめてばかりいるファン・ジャンス兵長(シン・スンホ)。
アン・ジュノの上司として脱走兵捜査官を仕切るパク・ボムグ(キム・ソンギュン)。
憲兵隊長の補佐官だがサボることばかり考えているイム・ジソブ(ソン・ソック)。
そして、アン・ジュノとコンビを組む上等兵のハン・ホヨル(ク・ギョファン)。
みんな、一筋縄ではいかない連中ばかりで、アン・ジュノは困惑させられることばかりだ。しかし、ハン・ホヨルはゆるいキャラで冗談ばかり言っているが、重要な任務のときは責任を持った行動に徹している。
そういう存在に助けられて、アン・ジュノも職務で成果を挙げていく。しかし、結局は理不尽な出来事ばかり起こってしまうのが軍隊というものだった。そういう現実の中で、ついに最悪の展開を迎えることになる……。
内容的にも作品性を評価されている『D.P.―脱走兵追跡官―』。脚本と演出の完成度がとても高い。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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