ドラマ『風と雲と雨』では、パク・シフが演じるチェ・チョンジュンとチョン・グァンリョルが扮する興宣大院君(フンソンデウォングン)の激しい闘いが本当に見応えがあった。
【写真】ラストを迎える『風と雲と雨』の歴史背景はどうなっているのか
舞台となったのは1860年代で、朝鮮王朝末期の権力闘争と王位継承問題がダイナミックに描かれていた。史実をうまく生かしながら、さらに興味深いエピソードをストーリーの随所に織り込んでいて、めまぐるしく変わる展開がとても興味深かった。そういう意味でも、最近の時代劇の中でも完成度が高い歴史巨編だったと高く評価できる。
主役のパク・シフの演技も見事だった。彼は『王女の男』以来9年ぶりの時代劇に出たのだが、前作と同様に歴史の大事件の渦中で堂々と生きる勇者を立派に演じていた。まさに、歴史劇にマッチする俳優だ。
共演のコ・ソンヒもボンリョンの役に扮し、歴史に翻弄される翁主(オンジュ/国王の正室以外から生まれた王女)を美しく演じた。パク・シフとの相性も良かった。
また、興宣大院君に扮したチョン・グァンリョルの演技もさすがだった。最初は滑稽(こっけい)なほど権力者に卑屈になっていたが、自分が国王の代理になると一転して横暴な独裁者に様変わりした。その変化をチョン・グァンリョルは縦横無尽に演じた。まったくスキがない名優だ。
一方、イケメンのソンヒョクが扮したのが、おぞましき悪役のチェ・インギュだ。彼は典型的なワルとしてドラマの憎まれ役を一手に引き受けていたが、最後は人間らしい情を見せて散っていった。ボンリョンに心から詫びていた場面こそが彼の本心だったかもしれない。
その他の登場人物もキャラが鮮明に目立っていて、ドラマをよく盛り上げた。そういう意味では、キャストがとても魅力的だった。
全28話で放送された『風と雲と雨』がすべて終わってしまうと、一抹の寂しさが心に残る。胸をワクワクさせるような名場面が多かったので、その一つ一つを思い出しながら、心地よい余韻に浸っていこう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】パク・シフは『風と雲と雨』で巨大な権力に逆らう主人公をどう演じたか
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