時代劇『ヘチ 王座への道』は、全24話で構成されているが、物語も中盤を迎えると、チョン・イルが扮しているヨニングンが世弟(セジェ/国王の後継者となる弟)となって、王朝の様々な難題に取り組んでいく。そんな彼を支えるのが司憲府(サホンブ)の茶母(タモ)として捜査補助をしているヨジである。コ・アラが俊敏に演じている。
【写真】『ヘチ』ヨジ役をもっと知りたい!! コ・アラは今、何をしているのか
このように、『ヘチ 王座への道』の主人公カップルは間違いなくチョン・イルとコ・アラなのだが、2人の役は通常の韓国ドラマとは異質の設定になっている。一番大きいのは、恋愛の要素が画面にあまり出てこないことだ。
普通、韓国ドラマならどんなジャンルでも「恋愛」がキーワードになる。専門性が高い警察ドラマや医療ドラマでも、物語の中心は登場人物の恋愛であり、男女のラブストーリーがメインで描かれる。それは時代劇も同様で、どんなに歴史性の高い内容でも王宮の恋愛を抜きにしてはストーリーが進まないのだ。
しかし、『ヘチ 王座への道』は珍しいパターンだ。つまり、ヨニングンとヨジは仕事を通して密接につながりながら、それが恋愛感情にまで発展していかない。人間同士としての信頼関係は描いていても、異性としての揺れる感情までは立ち入っていないのだ。
身分の違いを考えれば、それは仕方がないのかもしれない。チョン・イルが演じるヨニングンは王族のナンバー2であり、身分が違いすぎるヨジと恋仲になるわけにはいかなかったのだ。
しかし、天下の美男と美女が主人公カップルを演じているのである。そこに、恋愛がからまないわけがない。かくして、ヨニングンもヨジも情熱的な恋心を持ちながら、身分の壁を乗り越えることができず、ひたすら感情を隠し通している。
まさに、「耐える恋心」を続けることが、主人公2人の宿命になっている。
さらに、ヨニングンはドラマの後半になると国王になっていくわけで、ますます2人の恋愛感情は難しくなる。そのあたりを『ヘチ 王座への道』はどのように描くのか。ヨニングンとヨジの恋の行方に注目するのも、このドラマの粋な楽しみ方だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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