韓国時代劇の数々の傑作で印象的なヒロインを演じた女優というと、イ・ヨンエやハン・ヒョジュがすぐに浮かぶが、もう1人忘れてならないのがチン・セヨンだ。
ここ数年の彼女の活躍は本当にすばらしい。今では「韓国時代劇の若きヒロインは？」と尋ねられたら、真っ先にチン・セヨンの名前が浮かぶほどだ。
彼女が『オクニョ 運命の女(ひと)』の主人公に抜擢されたとき、正直言って、その存在をよく知らなかった。それもそのはずで、彼女はまだ代表作と言えるものがない新人女優にすぎなかったからだ。
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「時代劇の巨匠」と称されるイ・ビョンフン監督も、ずいぶんと大胆な起用を行なったなあ、と心から感心したほどだった。
しかし、イ・ビョンフン監督の目に間違いはなかった。チン・セヨンはヒロインのオクニョを精一杯に快活に演じきって、巨匠が作る時代劇のヒロインとして視聴者から好意的に受け入れられた。
そんなチン・セヨンは続いて『不滅の恋人』の主人公へのオファーを受けた。彼女は時代劇に続けて主演することで「同じタイプのドラマに出る女優」というレッテルを貼られることを警戒した。
それはよくわかる。韓国の俳優は多様な役に挑むことが多く、同じような役を続けるのは敬遠する傾向があるのだ。それでもチン・セヨンは、果敢に再び時代劇に出て、ユン・シユンと一緒に情熱的で古風な恋愛を全身全霊で演じた。
こうして新たな実績をプラスしたチン・セヨンは、さらに『カンテク～運命の愛～』に主演した。
このときもチン・セヨンは「時代劇にばかり出ている」という評判を気にしたのだが、いい意味で、前向きな開き直りができて主演を受け入れた。
このドラマでチン・セヨンは、姉と妹の1人2役を演じるという難しい役柄に挑んだが、緊迫感がある場面でも巧みに表情を臨機応変に変えていって、多彩な表現力を見せてくれた。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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