2月14日からNHKの総合テレビで毎週日曜日の午後11時から『ヘチ 王座への道』が放送される。チョン・イルが主演して、彼が若き日の英祖(ヨンジョ)を演じている。
このドラマを見るにあたって、当時の朝鮮王朝の政治状況について知っておくべきことを解説しておこう。
第1話から『ヘチ』の時代設定となっているのは1719年である。
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この年がどんな意味を持っているかというと、歴史的には19代王・粛宗(スクチョン)が亡くなる1年前なのだ。それだけに、粛宗の後継者をめぐって争いが激化していた。
粛宗の長男はイ・ユンで、俳優のハン・スンヒョンが演じている。彼は、張禧嬪(チャン・ヒビン)が1688年に産んだ息子だ。
母親の張禧嬪は、仁顕(イニョン)王后を呪詛(じゅそ)した罪で、1701年に死罪になっている。
これによってイ・ユンの立場は極端に悪くなって、世子(セジャ)を外される可能性もあったのだが、粛宗がイ・ユンを長男であることを重んじたため、立場は変えられなかった。
しかし、イ・ユンは病弱で世継ぎを望めなかったので、その立場はとても危うかった。
それによって、他の王子が王位に強い望みを持つようになり、その中で二男イ・グム(延礽君〈ヨニングン〉)は蚊帳の外に置かれていた。
彼自身は才能が豊かで人格もよかったのだが、母親の出身があまりにも低いということで、後継ぎの候補からはほとんど外されているような状態だった。
このイ・グムの母親こそが、時代劇ファンなら誰もが知っている淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)である。彼女は、『トンイ』でハン・ヒョジュが演じたヒロインだ。
ただ、その淑嬪・崔氏も1718年に世を去っていて、『ヘチ』の中では亡くなった人として扱われていた。
しかし、イ・グムは周囲の冷たい視線を浴びながら着実に成長して立派な王子になっていく。
いわば、一番未来の国王に縁がなかった王子の奮闘記として、『ヘチ』は輝かしく描かれているのである。そのあたりを物語の序盤からじっくりと見ていこう。
文=大地 康
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