『暴君のシェフ』は、現代の天才シェフのヨン・ジヨン(演者イム・ユナ)が朝鮮王朝時代にタイムスリップする物語だが、歴史劇が重要なストーリーになっている。そこで、朝鮮王朝時代の成り立ちをわかりやすく解説していこう。
●「5大豆知識」その1/時代背景
『暴君のシェフ』の時代背景は1504年頃である。この時期は、1494年に即位した10代王・燕山君(ヨンサングン)が統治していた。日本で言えば、室町幕府における第11代将軍・足利義澄(あしかがよしずみ)の統治時代であった。
●「5大豆知識」その2/中央集権国家の絶対君主
朝鮮王朝の政治体制は国王を頂点とした中央集権国家となっている。国王は全土を統治する唯一の絶対君主であり、その政治力は絶大だった。『暴君のシェフ』の国王イ・ホン(演者イ・チェミン)も、どんなわがままでも通せる立場だったのだ。
だからこそ、彼は重臣たちの反対を押し切ってヨン・ジヨンを水刺間(スラッカン/王家の調理場)の最高責任者にすることができた。それも絶対的な君主であったことが大きい。
●「5大豆知識」その3/大王大妃の権力
朝鮮王朝の王家においては、最年長の長老が国王を上回るほどの権力を持っている。なぜならば、朝鮮王朝は「長幼の序」を重んじる儒教を国教にしているからだ。年長者を敬うのが守るべき価値観だったのである。
国王の母を意味する大妃(テビ)は大きな権力を持っているが、さらにその上がいる。それが、国王の祖母を意味する大王大妃(テワンテビ)だ。『暴君のシェフ』なら、インジュ大王大妃(演者ソ・イスク)の権力が強力だ。
●「5大豆知識」その4/大君の立場
大君(テグン)というのは国王の正室が産んだ王子のことである。国王の側室が産んだ場合には君(クン)となる。つまり、大君と君では立場が違うのだ。『暴君のシェフ』のチェサン大君(演者チェ・グィファ)は先王の嫡子でありイ・ホンの叔父となっている。国王に影響力を及ぼせる重大な権利を持っているといえる。
●「5大豆知識」その5/都承旨の役割
都承旨(トスンジ)というのは、国王の秘書的な役割を務める承政院(スンジョンウォン)の長官のことだ。いわば、国王の秘書室長と言える。朝鮮王朝時代には大変重要な役職で、国王の一番近くでいろいろと相談に乗ることが多い。『暴君のシェフ』で都承旨を務めるイム・ソンジェ(演者オ・ウィシク)も、イ・ホンに密着して王宮を動かしている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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