「やっぱり、適度な高さから落ちるのがベストだと思う。布団を干してて、誤って落ちたことにするの」
そんな言葉を呟くのは、ドラマ『未知のソウル』の主人公ユン・ミレ。
職場で同僚をかばったことがきっかけで“社内のエース”から一転、全職員に無視されるようになったミレは、「会社に行かずに済む方法」を思い悩む日々を送り、挙げ句の果てには「ベランダから飛び降りる」という計画まで立ててしまう。
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ミレと一卵性双生児の妹ユン・ミジはある日、ミレの追い詰められた状況を知り、かつてのように再び「人生を交換する」ことにするのだが――。
『未知のソウル』は、単なる“人生交換”の物語にとどまらず、他者の痛みに寄り添い、共感が生まれる過程の静かな感情のうねりを描き出したヒューマンドラマだ。
双子姉妹であるミジとミレ、そしてそれぞれの“ふりをする”ミジとミレ。
主演を務めるパク・ボヨンは、「1人2役」ならぬ「1人4役」を演じていると言っても過言ではない。
声のトーンや目つき、表情、そして醸し出す雰囲気まで完璧に演じ分けており、視聴者からは「ワンマンショー」「神技」とまで称賛されている。
それなら、1人4役を担うパク・ボヨンは出演料も4倍だろうか?
パク・ボヨンは「役作りも撮影する分量も通常の倍だったけど、出演料はいつもと変わりなかった」と笑いながら語っていた。
それにしても今回、パク・ボヨンの苦労は尋常ではなかったという。
1人2役を同じ場面で撮影する場合、通常は先に一方のキャラクターを撮り、衣装やヘアメイクを直してすぐに反対側を撮影する。
しかし、『未知のソウル』の場合、ミジが物語の序盤にはブリーチヘアという設定だったため、パク・ボヨンが実際に髪をブリーチして撮影に臨んでおり、その場での切り替えが不可能だった。
後ろ姿や危ない撮影では代役やCGを使っているが、ほとんどの撮影はスケジュールを完全に分け、カメラのレンズのサイズ、立ち位置、距離などを細かく記録して、同じ場面を誤差なく二度撮影。
パク・ボヨンも感情を再び引き出さなければならず、それがかなり「極限の撮影」だったという。
こうしたこだわりと熱量こそが、『未知のソウル』の高い完成度を支えている理由だろう。
パク・ボヨンは制作発表会で、「『退職も我慢もしなくていい。代わってあげる、昔みたいに。あんたとして生きる。あんたは私として生きて』というミジの台詞を読んだ瞬間、この作品をやると決めました」と語っている。
双子の姉妹がそれぞれの傷や喪失と向き合いながら成長していく姿を通して、「視聴者を慰めたい」。
そんなパク・ボヨンの想いがドラマ全体にそっと染みわたっているように感じられるのは、決して気のせいではないのだ。
(文=韓ドラ・時代劇.com編集部)
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