ハン・ヒョジュにとって、2005年という年は絶対に忘れられないことだろう。なぜなら彼女が『春のワルツ』の主役に抜擢されたのが2005年だからだ。
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もともとハン・ヒョジュは食品会社が主催した「笑顔のコンテスト」に優勝したことが芸能界に入るきっかけになっていた。そして、長身のスタイルと愛らしい笑顔は、大いに注目された。
それでも、有名なユン・ソクホ監督が満を持して企画したドラマの主役になるとは誰も想像していなかった。なにしろ、四季シリーズの最終章となる『春のワルツ』の主役として企画段階で名前があがっていたのはムン・グニョンだったのだ。
彼女は四季シリーズの第1作となる『秋の童話』で天才子役として評価されていた。それほど演技が巧みだった。それから5年が経過したので、ムン・グニョンも大人の女優として十分に成長を見せられるはずだった。
実際、ユン・ソクホ監督はムン・グニョンを想定しながら、『春のワルツ』の企画をどんどん進めていた。しかし、彼女は大学受験を控えていた。勉学に励まなければならない時期だったので、最終的には『春のワルツ』への出演ができなくなった。
その後、ヒロインの役としてはキム・テヒやソン・ユリの名前があがっていた。特にソン・ユリの場合はほぼ決定と伝えられたが、撮影開始の直前になって本人が辞退してしまった。これはユン・ソクホ監督にとって大きな痛手となったが、落胆している場合ではなかった。ヒロインをすぐに選ばなければならなかったからである。
そういう中で、まだ新人だったハン・ヒョジュが『春のワルツ』の主役に決定した。本人にしてみれば、まさに奇跡だったことだろう。実際、決まったのは本当に撮影開始の間際だった。こうして、ハン・ヒョジュは慌ただしくロケ地のオーストリアに飛び立った。2005年12月のことである。
ハン・ヒョジュは本当に苦労を重ねたが、なんとか『春のワルツ』の撮影を無事に終えた。以後は、『華麗なる遺産』や『トンイ』を大成功させて、トップ女優の地位を確立した。
文=大地 康
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