俳優ペ・スビンは、記者会見で記者の質問に答えているときも、本当に誠実そうに見える。質問に対して自分の言葉で答えているし、そのときの表情も本当に好感が持てる。
そういう姿を見ていると、ペ・スビンの人間性が真面目であることがよくわかる。
『トンイ』で演じたチャ・チョンスもそうだった。ハン・ヒョジュが演じたヒロインのトンイを兄の立場で見守る役だった。
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苦しい境遇に置かれたトンイにとって、チャ・チョンスはどれほど頼りになったことか。チョンスにしても、本当はトンイのことを愛していたはずなのに、その気持ちを隠しながら接しなければならなかった。男として、本当に辛い気持ちだったことだろう。
そういうチョンスの苦しみを、ペ・スビンは優しい感性で丁寧に演じていた。
『トンイ』には本当にたくさんの出演者がいたが、ペ・スビンの登場する場面にはどこか温かみがあった。それもまたペ・スビンの俳優としての財産であることに違いない。
『トンイ』に出演する直前には、ペ・スビンはハン・ヒョジュと共演していた。それが大ヒットした『華麗なる遺産』であり、ペ・スビンはヒロインのハン・ヒョジュを見守るレストランのオーナーを演じていた。
ここでも彼は、ハン・ヒョジュの役を見守る立場だった。本当に面倒見がよさそうなキャラクターだ。
このように、優しい感性を活かした演技を披露してきたペ・スビンだが、かつて朝鮮王朝の国王を演じたことがあった。
そのドラマは2008年の『風の絵師』なのだが、ペ・スビンはどんな国王を演じたのだろうか。実は、22代王の正祖(チョンジョ)であった。
これはペ・スビンのキャラクターからすると、意外な国王だったと言えるかもしれない。
なんといっても正祖が登場する時代劇といえば、イ・ソジンが演じた『イ・サン』があまりにも有名だ。
このドラマは、小さいころから暗殺の危機に怯えていたイ・サンが、数々の苦難に立ち向かいながら名君へと成長していく物語だった。
主役のイ・ソジンは困難を乗り越える意志の強さを見せていた。つまり、イ・ソジンが演じた正祖は強靭な国王だったのだ。
しかし、『風の絵師』で正祖を演じたペ・スビンは違う。彼は優しい感性を持っているので、強さというより柔軟さを出して国王に扮していた。
国王のイメージというのは、演じる俳優のイメージによっても変わってくる。『風の絵師』では、ペ・スビンならではの感性を持った国王を見ることができる。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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