韓国JTBCドラマ『100番の思い出』が、1980年代の青春が育んだ友情と初恋をアナログな感性で映し出し、胸に静かに沁みわたる余韻を呼び覚まし、切なくも温かな思い出の時間を届けた。
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『100番の思い出』の第1話は、冒頭から視聴者の目を釘付けにした。
1982年の朝、出勤のために100番バスが走り抜ける光景の中、バスガイドのコ・ヨンレ(演者キム・ダミ)が力強く響かせた「オーライ~」の掛け声は、当時の街の空気や活気までも鮮やかに蘇らせたのである。
そこにキム・ダミの確かな存在感、シン・イェウンの繊細な感情表現、ホ・ナムジュンの新鮮なまなざしが重なり、物語は一層生き生きとしたものとなった。
単なる時代劇を超え、俳優たちの演技がアナログな舞台に息吹を吹き込み、視聴者を1980年代の初恋と友情の記憶へと誘ったのである。
さらに、回数券やトークン、出退勤記録簿、そろばん、英語教材『成文英語』、紙人形といった小道具もリアルさを際立たせた。細部に至るまで当時の生活を緻密に再現し、「暮らしぶりまでも完璧に蘇らせた」との反響を呼んだ。
持つものは多くなくとも、互いの存在によって輝けた青春の日々、『100番の思い出』は、まさにその時間の精髄を切り取り、現代の視聴者の胸にも特別な響きを届けているのである。そこで本作の魅力を4つのキーワードで整理してみたい。
1. 1980年代の象徴的空間が呼び起こす“初恋の公式”
バスガイド、音楽喫茶、映画館、制服での合コンなど、1980年代を彩った空間と文化が背景として広がる。
なかでも今は消えてしまった職業・バスガイドは、停留所で乗客を迎えながら「オーライ!」と声を響かせ、料金を受け取り、回数券を渡していた当時の光景を鮮やかに蘇らせた。
ヨンレの姿は、あの時代のソウルの街を駆け抜けた若者たちの活気とロマンをそのまま伝え、強い印象を残した。
携帯電話も、メッセンジャーもなかった時代。昼間部の生徒が夜間部の仲間に送った応援メモ、音楽喫茶でのリクエスト曲、制服姿で臨んだ合コン、そんなアナログな出会いが、純粋さをまっすぐに呼び覚ました。
2. 絶望の中で咲いた青春、互いの支えとなった2人の少女、キム・ダミとシン・イェウン
ヨンレの母(演者イ・ジョンウン)のリヤカー事故で現実が粉々に砕け散った時、ヨンレは絶望した。しかし彼女のそばには親友ソ・ジョンヒ(演者シン・イェウン)がいた。
大金を差し出しながら「ボーナスで願い事1つ、貯金しておくよ」と冗談を飛ばし、ヨンレを笑わせ、辛い現実を束の間忘れさせた。
さらにバスのラジオをつけ、モップをマイク代わりに2人で歌ったシーンは、ジョンヒがヨンレの心の闇を晴らし、再び笑顔を取り戻させた瞬間だった。
貧しくみすぼらしかったが、青春だからこそ輝いていた2人の友情は、視聴者に深い感動を与えた。
「持っているものは何もなかったけれど、互いにとって何より大切な力になれた時代」、そんな共感が自然と広がったのである。とりわけキム・ダミとシン・イェウンの自然な呼吸は、この場面の真実味をさらに高めた。
3. 運命のいたずらのような再会、始まった三角関係?
映画館での“口をふさぐ”エンディングで強烈な余韻を残した第1話に続き、第2話では新たな運命のいたずらが展開した。
期末試験を終えたジェピル(演者ホ・ナムジュン)が、友人マ・サンチョル(演者イ・ウォンジョン)の説得でしぶしぶ参加した4対4の合コン。その場に、夜間学校に通うヨンレとジョンヒも偶然席を埋める形で再会したのだ。
ヨンレは、ジェピルが自分を救ってくれた“ジャイアント”だとすぐに気づき、ジョンヒも興味深げなまなざしで彼を見つめた。
そして2人を見返すジェピルの視線が重なる。その瞬間、3人の間に危うい空気が漂い、友情と愛情が交錯する三角関係の幕開けを告げた。
4. 名曲で彩られたアナログの感性
ドラマの没入感を一層高めたのは、1980年代の名曲たちであった。
ヨンレがジェピルに一目惚れした瞬間、まるで揺れる心を映すように流れたのは、カーペンターズの「Close to You」(1970)をペク・イェリンがシンプルなアコースティックバージョンでリメイクした曲。初恋のときめきを倍増させた。
また、ヨンレとジョンヒがラジオに合わせて歌ったユ・シムチョの「どこで何になって再び会おう」(1982)は、フォークの温もりで友情をさらにあたたかく染め上げた。
そして4対4の合コンのエンディングでは、ユ・ジェハの1982年未発表曲「星のような君の眼差し」が新たに響き渡り、アナログロマンスの余韻を完成させた。
時代を越えて甦った名曲たちは、世代を超えた共感を広げ、作品の情緒を極限まで高めたのである。
『100番の思い出』は、毎週土曜よる10時40分、日曜よる10時30分にJTBCで放送されており、U-NEXTで視聴することができる。
(記事提供=OSEN)
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