イ・ジュンギという俳優は、内面も外面も等しく美しく、見る人の人生にそっと寄り添いながら、希望と光を与えてくれる。
たとえば、『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』(2016年)や『無法弁護士~最高のパートナー』(2018年)、あるいは『悪の花』(2020年)や『アゲイン・マイ・ライフ~巨悪に挑む検事~』(2022年)などの作品をひとたび目にすれば、イ・ジュンギが、地に足がしっかりついていることがよくわかる。彼の姿からは、挑戦を恐れぬ情熱と果敢に前進する誇り高き精神がにじみ出ている。
軽やかに、そして、しなやかに…ジャンルの垣根を超えて歩むその道筋は、色とりどりの風景を織りなし、見る者の心に深い余韻を残す。
いつもイ・ジュンギは期待を決して裏切らない。いや、それどころか、想像のさらに先へとファンを導くのである。作品を見続けていると、失望することがまったくないし、前作と比べて質が落ちるという印象を受けたこともない。つまり、それぞれの作品が、一定以上の完成度で保たれているという証である。
何よりも、イ・ジュンギの演技そのものが、つねに高く澄んだ場所にあるということを意味している。そこに至るまでの努力は、きっと常人の想像を超えるほどに険しい道だったに違いない。
ただ、俳優の力だけで作品が成り立つわけではない。映画やドラマは、まるで繊細な織物のように、多くのスタッフや俳優の想いが重なり合い、交差して、ひとつの芸術へと昇華する。その中で「より良いものを届けたい」という思いが、ときに重いプレッシャーとなってのしかかることもあるだろう。
それでも、イ・ジュンギは乗り越えてきた。若くして人生の酸いも甘いも味わった彼だからこそ、逆風さえも追い風に変える強さを持っているのだ。
実際、イ・ジュンギに関してはいつも「未来が楽しみだ」と素直に思えた。これから先、イ・ジュンギがどんな俳優へと変わっていくのか。その姿を見届けられるのは、とてつもなく幸福なことなのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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