ミステリー時代劇『青春ウォルダム 呪われた王宮』では、主人公イ・ファン(パク・ヒョンシク)が亡くなった兄の代わりに世子に昇格し、国王の立派な後継者になっていた。このドラマは物語が架空の設定だが、史実では世子もどういう立場になっているのだろうか。
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そもそも、朝鮮王朝時代の国王は君主世襲制と嫡長子世襲制で決められた。意外なのは、実際に長子が王位を継承した例が少ないことだ。国王は合計で27人いたが、その中で嫡長子は7人しかいなかった。
それでも、基本的に王位は国王の息子に受け継がれる。この息子は「元子(ウォンジャ)」と呼ばれた。元子はやがて国を治める存在だ。国王と王妃は元気で聰明な子を懐妊するため、吉日を選んで共寝をした。
幸いに元子が生まれると、5歳くらいで世子に冊封される。すると、それにふさわしい処遇を受ける。まず、世子を象徴する七章服(七つの紋様が刺繍されている世子の正服)を着て、世子の権威を象徴する文書や印鑑などを所有した。同時に自分の官僚と護衛兵を率いることもできた。
また、世子は新たな時代を開く春に当たるため「春宮(チュングン)」と呼ばれた。春は方角でいえば東にあたるので春宮と「東宮(トングン)」は同義語だ。実際、王宮の空間構造で世子が住むところは東だった。
また、世子の教育を担当した官僚は、科挙(超難関の官僚任用試驗)に合格した参上官で、家門も良かった。未来の国王である世子の教育を科挙出身の参上官に任せることによって、さまざまな効果があった。まず、考えられるのは国家の理念をきちんと把握できるようになるし、世子と官僚たちの人間的な付き合いも深まる。
さらに、一般庶民は10代後半に結婚するのが普通だったが、それよりも世子の婚礼は早かった。これは世子に任命されること自体が大人になったという意味だからだ。それゆえ、世子が結婚するのは10歳くらいが多かった。
『青春ウォルダム 呪われた王宮』の世子イ・ファンはまだ未婚だった。この点は史実とは大きく違っていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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