テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『太陽を抱く月』は、6月4日で第10話がオンエアされた。全20話になっているので、これからドラマは佳境の後半に入っていく。
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しみじみ思うのは、キム・スヒョンの演技の素晴らしさだ。2012年制作のドラマなので、主役の彼は24歳になっていた。当然ながら若々しいのだが、それ以上に堂々たる演技力に感嘆する。20代前半で貫禄たっぷりの主役に扮していることが頼もしかった。
それから12年が経った。2024年にキム・スヒョンは社会的にシンドロームを巻き起こすほど大ヒットした『涙の女王』で、主人公のペク・ヒョヌを演じた。彼は1988年生まれなので、今年は36歳を迎えている。
時間は誰にも平等に流れていく。しかし、キム・スヒョンに関しては「時間が止まったのでは?」と錯覚するほどに、『太陽を抱く月』のときと変わっていない。
もちろん、細かいことを指摘すれば、キム・スヒョンも「12年前とまったく同じ」と言えるわけではないのだが、画面から受けるイメージでは、相変わらず『太陽を抱く月』で演じた国王イ・フォンの雰囲気をそのまま継承している。
特に演技上で顕著だったのが、泣く場面だった。たとえば、『涙の女王』の序盤にペク・ヒョヌは酒を飲んで号泣するシーンが多かった。それは、思うようにならない境遇を嘆いたものであり、感情の高揚が感じられた。
『太陽を抱く月』の前半でも、キム・スヒョンが演じたイ・フォンはこらえきれずによく泣いていた。それは、若くして死んだ世子嬪ヨヌ(キム・ユジョンが演じていた)を忘れられなくて涙をこぼしていたのだ。
泣く場面は俳優の中で特に難しい演技を求められる。そのように難易度が高いシーンでも、キム・スヒョンは12年前も今も変わらぬ姿を見せてくれる。1人で時間差を超えていくという意味で、まさに究極の「1人時間差」だ。これを可能にしたキム・スヒョンは、やっぱり天才型の俳優だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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