胸キュンラブコメの鉄板のひとつが、“主従ロマンス”だ。
韓国的にいえば、甲乙関係、つまり主人=雇用主と従者=被雇用者の関係。古くは、『コーヒープリンス1号店』のカフェ社長(扮コン・ユ)と従業員(ユン・ウネ)、『私の名前はキム・サムスン』のレストランオーナー(ヒョンビン)とパティシエ(キム・ソナ)、最近でいえば『キム秘書はいったい、なぜ?』の副社長(パク・ソジュン)と秘書(パク・ミニョン)の関係がこれに当たる。
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職場では絶対的権力を持つ甲(主人公)が上から目線で乙(ヒロイン)を振り回すも(典型的ツンデレ)、恋に落ちたら大逆転。知らぬ間に甲が乙の価値観やペースに動かされ、“雇用主”としての意識も変わっていくという王道パターンだ。
近年はラブストーリーにもサスペンスやファンタジーが盛り込まれ、この王道ロマンスが激減しているが、この『君のハートに魔法をかけろ』は、「そう来るよね−」と思わずほくそ笑んでしまったほどの直球ラブコメだ。
ツンも主主人公ジウを演じるソンジュンは、「抱きしめたい~ロマンスが必要~」「カフェ・アントワーヌの秘密」などの “ツンデレ・キス職人人”ぶりで女性視聴者をトロけさせたラブコメ俳優。久々のラブコメ出演となった本作で、本領を発揮している。
さらに、相手役を務めたイム・ジヨンとは「上流社会」以来の再共演となり、息の合ったやり取りで抜群の相性を見せている点も高ポイントだ。
というわけで、本作の魅力は、小細工なしの“直球ラブコメ”である。
なにせ主人公ジウは、海外で悠々自適の生活を満喫していた財閥3世。派手な髪色の遊び人風。仕事もせず親のスネをかじって暮らしているダメンズで、1話では甘えすぎじゃーっ!とツッコミを入れたくなるが、そこはおいおい明らかになる“過去のある出来事による心の傷ありキャラ”の香りぷんぷん。夜は明かりを消すと眠れず、主治医の薬なしではパニック症が出てしまうというワケあり男子だ。