Netflixで配信中の『イカゲーム』シーズン3は、どん底に生きる者たちの再起を描くサバイバルスリラーとして、さらに濃密な人間ドラマを展開する。その中で異彩を放つのが、カン・ハヌル演じるイカゲーム参加者388番で海兵隊出身のカン・デホを演じている。
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カン・デホは、表向きは忠実で真っ直ぐな男だが、その内面には、かつて仲間を見殺しにしてしまったという深い罪悪感が沈殿している。ギフンに憧れを抱きながらも、決定的な場面で勇気を持てず、取り返しのつかない選択をしてしまった。
そんな後悔と自己否定が、シーズン3の緊迫したゲームの中で徐々に浮かび上がっていく。その揺れ動く感情を、カン・ハヌルは実に繊細な演技で表現している。
舞台出身の彼は、ひとつひとつの感情のニュアンスを丁寧に拾い上げることに長けている。目の動き、わずかな間、声の震えなどが、見る者の胸をじわじわと締め付ける。デスゲームという非現実的な状況下でも、彼の演じるデホには確かな現実が宿っているのだ。
カン・ハヌルといえば、『ミセン~未生~』『椿の花咲く頃』『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』『インサイダー』といったジャンルを問わない出演作で、どんな役柄にも自然と息を吹き込む実力派としての地位を確立してきた。さらに、『隠し味にはロマンス』にも出演し、ドラマの中で新たな一面を披露した。
人間らしさを感じる演技が魅力
そんなカン・ハヌルが、7月18日からNetflixで独占配信予定の映画『84㎡』で、平穏を求めて手に入れたマイホームが徐々に悪夢と化していくというスリラーに挑戦する。
彼は、コメディからロマンス、そしてサスペンスやアクションまで、ジャンルの垣根を越えてあらゆる物語の中で感情の濃淡を演じ分けることができる俳優だ。
カン・ハヌルの演技にはいつも人間らしさがある。それは決して派手さだけではない。優しさと迷い、誠実さと弱さ、そのすべてを静かに抱えて立つ人物像が、見る者の心を打つのだ。
極限状態を描く『イカゲーム』シーズン3において、カン・ハヌルは人間の弱さと希望の両方を表現できる稀有な俳優であるからこそ、彼の演じるデホは、ただの登場人物ではない。私たち自身のもしもを投影する鏡のような存在となっている。
7月18日からNetflixで独占配信が始まる『84㎡』、そして継続的な話題作への出演が続く中で、カン・ハヌルの演技はますます深化していくだろう。彼が描く人間の本質から、これからも目が離せない。
文=大地 康
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