『ナインパズル』で魅せるサスペンスの核心、キム・ソンギュンが操る疑惑の存在感

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韓国ドラマ界のサスペンス作品に新たな風を吹き込んでいるのが、Disney+で独占配信中の『ナインパズル』だ。物語の中心にあるのは過去と真実である。かつて自らが容疑者として扱われた事件に再び向き合うユン・イナ(演者キム・ダミ)。

そんな彼女の前に現れるのは、信頼と疑念が錯綜する関係者たち。その中でも一際重厚な存在感を放つのが、使命感あふれるチーム長ヤン・ジョンホを演じるキム・ソンギュン演じる人物である。

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キム・ソンギュンは、これまでも数々の作品で多彩な役柄をこなしてきた実力派俳優である。彼が初めて大きな注目を集めたのは、2012年公開の映画『悪いやつら』であった。

犯罪者という一筋縄ではいかないキャラクターを、繊細な表情と圧倒的なエネルギーで演じきり、以後、名バイプレイヤーとして名を馳せることとなる。

ドラマファンにとっては、『応答せよ1994』での新村下宿の下宿生で延世大学コンピューター工学科のサムチョンポを演じ、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』では、リュ・ジュンヨル扮するキム・ジョンファンの父親を演じ、幅広い世代から支持を得た。

こうした人間味あふれる役から、冷徹な権力者まで、彼の演技の幅は極めて広い。

(写真=Disney+)

ドラマの奥行きを深める存在

そんなキム・ソンギュンは、『ナインパズル』で過去の役柄とはまた異なる側面を見せている。

真実に迫ろうとするユン・イナの周囲に渦巻く謎と葛藤。その渦の中でキム・ソンギュンが演じるキャラクターは、物語のカギを握る役割を果たしている。抑えた演技の中に潜む狂気や執念のようなものを漂わせ、観る者を不安にさせる。この不穏さこそが、彼の俳優としての真骨頂であろう。

作品ごとに異なる顔を見せながら、常に物語を引き締める重しとして機能するキム・ソンギュン。その演技力は、いまや韓国映像作品に欠かせない要素の1つとなっている。今後も彼がどのような役を通じて観客に新たな衝撃を与えるのか、期待は尽きない。

『ナインパズル』は、記憶、真実、信頼といった要素が緻密に編み込まれたサスペンスである。そしてその物語を支えるのは、間違いなくキム・ソンギュンのような職人肌の俳優たちである。彼の存在が、ドラマの奥行きを一段と深めているのは言うまでもない。

文=大地 康

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