テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『ホジュン~伝説の心医~』は、7月10日の第52話で、宣祖(ソンジョ/演者チョン・ノミン)の側室たちの間で起こった呪詛(じゅそ)を取り上げていた。
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この場合、呪詛をかけられたのが第一側室の恭嬪・金氏(コンビン・キムシ/演者チャン・ジウン)であり、呪詛を仕掛けたのが、第二側室の仁嬪・金氏(インビン・キムシ/演者チョン・シア)だった。
恭嬪・金氏はすでに王子の臨海君(イメグン)と光海君(クァンヘグン)を産んでいる。一方の仁嬪・金氏は妊娠中であり、もし王子が生まれたら、絶対に世継ぎにしたいという欲を持っていた。それゆえ、邪魔になる恭嬪・金氏に呪いにかけて命を奪おうとしたのである。
それが発覚して、仁嬪・金氏は窮地に陥ったが、恭嬪・金氏がことを大きくしなかったので、なんとか無事に過ごすことができた。
こうした呪詛事件はドラマ用の作り話ではなく、実際に起こった出来事であった。
当時、病に伏せていた恭嬪・金氏は、自分を誰かが呪っているという噂を聞いた。そこで彼女は宣祖に対してこう訴えた。
「私の履いていた靴が1足なくなってしまいました。私をうとましく思う側室の誰かが、靴を利用して呪詛をしているのではないかと思います」
恭嬪・金氏はそのように事実を伝えたが、その頃の宣祖は仁嬪・金氏を寵愛しており、まともに受け取らなかった。そのために恭嬪・金氏はどれほど悔しい思いをしただろうか。国王の寵愛を失うというのは、まさにこういうことなのだ。正しいことを言っても、それが認められないのだ。
むしろ、呪詛を仕掛けているような側室こそが、権力を強くしていく。それが、王宮における人間関係の構図であった。
『ホジュン~伝説の心医~』でも恭嬪・金氏は国王の寵愛を失い、本当に寂しい思いをしていた。それでも呪詛を穏便に済ませた心中を察すると、なおさら恭嬪・金氏の潔い態度が心に迫ってくる。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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