ノワールアクションの世界に、またひとり鮮烈な存在が登場する。俳優チュ・ヨンウが出演する新作ドラマ『広場』は、地下世界の闇を舞台に復讐と権力争いが交錯する、緊張感あふれる物語である。
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主人公ナム・ギジュン(演者ソ・ジソブ)が長い沈黙を破って裏社会に舞い戻り、弟の死の真相とその背後に潜む黒幕を追い詰めるこの作品で、チュ・ヨンウは複雑で謎めいた男イ・グムソンを演じている。
イ・グムソンは、裏社会の一翼を担う組織“ジュウン”の実力者イ・ジュウン(演者ホ・ジュノ)の息子にして、現職の検事という異色の存在だ。法を盾にしながらも、父の築いた非合法な世界と地続きの場所に立ち続ける。
そんな彼は、正義と欲望のはざまで揺れ動く人物である。表向きは冷静沈着、だがその内面には秩序をひっくり返すほどの静かな激情が潜んでいる。
チュ・ヨンウが演じるこのキャラクターは、ストーリーの予測不可能性を高める“異分子”として、視聴者に不穏な緊張を与え続ける。かつての作品では爽やかな青年像を多く演じてきた彼が、本作ではこれまでにない冷徹で計算高い一面を前面に押し出す。
無表情な眼差しの奥に潜む冷ややかな決意、言葉の裏ににじむ狂気、そうした微細な感情をチュ・ヨンウがどう演じ切るのかが見どころとなる。
一方で、彼の幅広い演技力は6月23日午後8時50分より初放送される『ギョヌと仙女』でも証明されることになる。
こちらは一転して、制服姿で高校生役に挑む青春ファンタジーだ。Z世代の巫女と運命に翻弄される少年が紡ぐ初恋の物語であり、チュ・ヨンウが演じるペ・ギョヌは、“誰かの痛みを背負いたくない”という思いを胸に、静かに自分の運命と向き合っていく。
“裏社会の冷酷な検事”と“優しさを秘めた高校生”という正反対の役柄を同時期に演じ分けることは、俳優としての表現の振れ幅が問われる挑戦だ。
チュ・ヨンウはこれまで、JTBCのドラマ『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』やNetflixで注目された『トラウマコード』などに出演し、視聴者に多面的な魅力を届けている。
『広場』では冷ややかな眼差しを見せているが、『ギョヌと仙女』ではどんな演技を見せてくれるのか。どちらの顔も、彼が今後さらなる飛躍を遂げる俳優であることを証明している。
複数の作品にまたがって見せる表現の幅広さと、内面からにじみ出る情感の深さこそが、チュ・ヨンウという俳優の真骨頂である。
文=大地 康
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