チャン・グンソクと韓ドラ時代劇の関係性。『テバク』の覚悟

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チャン・グンソクが主演した時代劇といえば『女人天下』や『ファン・ジニ』や『快刀ホン・ギルドン』があるし、現代劇でも多くの作品に出演しているが、すぐに思い浮かぶ作品といえばやっぱり『テバク』だろう。

チャン・グンソクは、『テバク』の主演が決まったときにこう語った。

「2年間大学院に通いながら臥薪嘗胆の姿勢で自分を振り返ってきました」

たきぎの上に寝たり苦い肝をなめたりという故事から生まれた「臥薪嘗胆」という言葉。「大きな目標を達成するために苦労を重ねること」を意味しているが、この言葉を持ち出すほど、チャン・グンソクには期するものがあった。

彼は『テバク』で、王子でありながら捨てられてしまったテギルを演じた。見どころは、弟に当たる英祖(ヨンジョ)と国を賭けた大勝負を行なうところ。スケールが大きいストーリーなのである。

チャン・グンソクの意気込みが凄まじいことは、2016年3月24日にソウルで行なわれた『テバク』の制作発表会でも察することができた。

彼はまったく笑みを見せず、抑揚をおさえた低音で冷静にこう語った。

「この作品をのがしたくない、ぜひやってみたいと考えました。『美男(イケメン)』のようなものを追求する俳優にかぎっていたのではないか、という疑念がいつもありました。(数え)30歳になります。今までのものを捨てて、新しいものを身につけられる作品になるのではないか、と思います」

内に秘めた決意が感じられるコメントだった。

韓国では2016年3月28日からSBSで『テバク』の放送が始まった。

第1話の冒頭の場面。雪が強く降る中で、成人したテギル(チャン・グンソク)が、反乱を起こす李麟佐(イ・インジャ/チョン・グァンリョルが扮している)と厳しく対峙していた。

このときのチャン・グンソクの演技は迫力があった。

「今までとは違う」

多くの視聴者がそう思ったことだろう。

何が違ったのか。一言で言えば「覚悟が備わっていた」ということだ。

「この『テバク』で評価を得られなければ俳優をやめざるをえない」

チャン・グンソク主演の『テバク』(写真=SBS)
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そんな切羽詰まった“背水の陣”をチャン・グンソクが匂わせていた。ドラマでは、凍えるような寒さの中で精悍な表情を見せていたが、そのときに感じられた強い意志は、チャン・グンソク自身の決意の表れだったのだ。

このように、彼の覚悟を見せつける場面は『テバク』には随所にあった。

『テバク』を体当たりで演じたチャン・グンソク

たとえば、第4話のエンディング。テギルの父親が息子を守るために命を落とし、それを契機にテギルは生まれ変わり、蛇に必死に食らいついて野人のように生きていく。

まさに極限状態に置かれたテギルをチャン・グンソクは体当たりで演じた。

かつて「ラブコメの貴公子」と呼ばれた華麗な姿はない。むしろ、ドロくさくて粗野だ。しかし、そんな姿をさらしてまで、チャン・グンソクは『テバク』に賭けていた。

第7話からテギルは最強の師匠のもとに弟子入りして、厳しい修業に明け暮れる。このときのチャン・グンソクも迫力満点だった。特に、風雪に耐えて頑張る姿には、多くの視聴者が共感したことだろう。

『テバク』の終盤でも、ドラマはめまぐるしい展開だったが、その中でチャン・グンソクはストーリーを大きく動かす堂々たる演技を繰り広げていた。

2016年6月14日に『テバク』の放送が終了したあと、チャン・グンソクは次のように感想を述べている。

「作品を通して、私が一体なぜ俳優を続けているのかという理由を見つけ出すことができました」

この言葉を聞くと、チャン・グンソクが『テバク』を通してどれほど大きな手応えをつかんだかがわかる。

2020年5月29日に兵役を終えたチャン・グンソク。今後の彼の活躍に期待したい。

♢チャン・グンソク プロフィール

生年月日:1987年8月4日生まれ
身長:182cm
学歴:ドンイ初等学校、広壮中学校
NELSON COLLEGE、芳山高等学校
漢陽大学 演劇映画科卒業

☆主な出演作
『女人天下』(ドラマ、2001年)
『プラハの恋人』(ドラマ、2005年)
『ファン・ジニ』(ドラマ、2006年)
『快刀ホン・ギルドン』(ドラマ、2008年)
『ベートーベン・ウィルス』(ドラマ、2008年)
『美男<イケメン>ですね』(ドラマ、2009年)
『メリは外泊中』(ドラマ、2010年)
『ラブレイン』(ドラマ、2012年)
『キレイな男』(ドラマ、2013年)
『テバク』(ドラマ、2016年)
『スイッチ‐世界を変えろ』(ドラマ、2018年)

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