EXOのD.O.(ディオ)としても有名なド・ギョンスが主演している『100日の郎君様』。ストーリーが面白いと評判になっているが、その中で際立っているのが悪役の存在感だ。
その親玉が陰謀で政権を支配している高官のキム・チャオンである。名優のチョ・ソンハが演じている。
とにかくドラマを見ていて、キム・チャオンがあまりに憎たらしい。
悪のかぎりを尽くして善良の人たちを次々に奈落の底に突き落とすからだ。今までの数多い韓国時代劇の中でもキム・チャオンというキャラクターは、きわめつけの悪の権現だと言える。
彼は何をしたのか。
まず、ド・ギョンスが扮するイ・ユルの父親を陰謀に加担させて、国王を殺して政権を乗っ取ってしまう。その結果、イ・ユルの父親は国王になる。
しかし、後ろで糸を引いていたのはキム・チャオン自身だった。
さらに、イ・ユルの初恋の人のイソの一家を襲い、父は殺され、イソも行方がわからなくなってしまった。イ・ユルの哀しみは絶望的だった。それもみんなキム・チャオンの差し金だった。
16年後、イ・ユルは世子となっていて、その妻はキム・チャオンの娘だった。
そんな娘をイ・ユルが愛せるはずがない。彼はキム・チャオンを憎悪していたのだが、ついには暗殺されそうになる。
危機一髪の大ピンチだったが、イ・ユルは善良な村人に助けられた。しかし、記憶喪失になってしまった。
結局、それぞれの人生が激変し、イ・ユルはウォンドゥクになり、イソはホンシム(ナム・ジヒョンが演じている)に変身して奇妙な夫婦になっていく。
この展開が『100日の郎君様』のストーリーをさらに面白くしているのだが、常にキム・チャオンの魔の手がのびていて、見ている人たちは常にハラハラさせられる。
そういう意味で、キム・チャオンはドラマを盛り上げる「必要悪」なのだ。それも、恐ろしいほどの嫌悪感をともなっている。
第4話以降はウォンドゥクとホンシムの村での生活が描かれる一方で、王宮ではキム・チャオンの陰謀がどんどんエスカレートしていく。
ドラマの「暗部」を描き出す名優のチョ・ソンハの演技からも目が離せない。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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