Disney+で配信中の『優しい男の物語』でパク・フンが魅せる哀しきカリスマの肖像

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冷たく哀しい裏社会を舞台に、人間の情と誠を描く感性ノワールドラマ『優しい男の物語』(日本ではDisney+で配信中)は、イ・ドンウク演じるパク・ソクチョルを中心に展開する。

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ヤクザの三代目という逃れられぬ宿命を背負いながらも、ソクチョルの瞳には柔らかく繊細な光が宿っており、非情な世界にあっても人を思いやる優しさを失っていない。

その心が動かされたのが、歌手になる夢を抱きながら現実にもがくカン・ミヨン(演者イ・ソンギョン)である。夢を追う彼女と、闇の中で純愛を信じる男だ。2人の魂が交わることで、物語は静かで美しい旋律を奏で始める。

この作品の美点は、血と抗争だけにとどまらず、日常の些細な優しさ、さりげない言葉や微笑み、気配りのひとつひとつにまで深い愛の光を織り込んでいる点にある。

過酷な運命に抗いながらも、お互いのためにすべてを懸けるふたりの姿は、観る者の心をやさしく揺さぶる。

そして、この物語に濃厚な陰影を加えるのが、ライバル組織サムチュン建設のカリスマ的リーダーのカン・テフンである。

パク・フン
パク・フン

魅力的な演技を見せる名俳優

圧倒的な威圧感と冷徹な判断力を武器に冷ややかな支配を貫くテフンは、かつてソクチョルと同じ組織で背中を預け合った過去を持つ。

今や敵対する2人だが、その間には言葉にできぬ絆が静かに残されており、単なる善悪では語れぬ複雑な人間関係が物語に深みを加える。

このテフンを演じるパク・フンは、これまでも数々の名作で確かな演技力を見せてきた実力派俳優である。

『六龍が飛ぶ』では秘密組織の一員として、また『ヘチ 王座への道』では街の情報屋タルムンとして、キャラクターに内在する矛盾や苦悩を繊細に演じ分けた。

特に『緑豆の花』では、革命家キム・チャンスという役を通して、信念に殉じる男の哀しさと誇りを体現し、多くの視聴者の記憶に深く刻まれた。

現代劇でも『太陽の末裔』や『アルハンブラ宮殿の思い出』など幅広いジャンルで存在感を放ち続ける彼が、『優しい男の物語』では冷酷さと人間味の狭間を巧みに演じ、作品全体に張り詰めた緊張感と奥行きをもたらしている。

なお、パク・フンは7月25日にNetflixで配信がスタートした『トリガー』で、銃器流通の過程でチャンスを見出す男ク・ジョンマンとして出演している。

文=大地 康

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